シュウメイギク Anemone hupehensis |
中国四川省の九寨溝は石灰岩を母岩とする渓谷で、滝や池などの美しい地形が連なっている。移動する車窓から白い花がたくさん咲いているのが見えた。歩いてみると、シュウメイギクであった。花色は白ではなく、薄いピンク。考えてみれば、日本でも野生化している場所は石灰岩地域の渓谷などであり、原産地で広く分布しているのは当然でもあった。 九寨溝(きゅうさいこう)は世界遺産に指定され、渓谷のみならず、周辺地域における耕作や放牧は禁止された。1枚目の大きな画像は耕作地あるいは放牧地であった場所であると思われ、点々と植樹されている草地にシュウメイギクが繁茂し、お花畑となっていた。渓谷と山の森林との境界や道路の周辺などにもたくさんの生育が見られた。九寨溝は海抜2100m前後であったと思うが、植生としてはブナ帯の上部から針葉樹林帯と思われた。 なお、日本のシュウメイギクは母種の変種(var. japonica)とされており、中国のシュウメイギクはその母種ということになるが、小生には違いはわからなかった。図鑑によれば、原産地は中国南西部であり、室町時代に渡来したと記載されている。日本のものが渡来以降に変種になったということは考えられないので、シュウメイギクにはいくつかの変種があり、その中のひとつが日本に野生化したものであると解釈すべきなのであろうと思う。 |