タガラシ Ranunculus sceleratus (キンポウゲ科 キンポウゲ属
 タガラシは北半球に広く分布する一年生の草本。ムギ類の栽培にともなって伝来した史前帰化植物の1つ。水はけの悪い山間の湿田などでよく見られていたが、基盤整備が実施されて乾田化されたり、放棄されたりで少なくなり、広くタガラシが生育する水田はほとんど見られなくなった。現在では富栄養な水路などに見られることが多く、大きく勢い良く育っっており、昔の痩せたタガラシとは全く違った雰囲気の個体しかお目にかかることができない。
 タガラシは収量の少ない水田を指標する植物であるとされる。「収量の少ない水田=痩せた貧栄養の湿田」であると考えやすいが、タガラシそのものは富栄養から中栄養の環境に適応できる種であろう。毎年耕される浅い沼沢地(水田)において、秋に芽生え春に開花する植物である。和名のタガラシは、「田芥子(辛子)」あるいは「田枯らし」と読める。タガラシは有毒植物で辛いので「田辛子」、あるいはタガラシの生育する湿田ではイネの収量が少ないので「田枯らし」・・・どちらの説がお好きでしょうか?

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