コガクウツギ Hydrangea luteovenosa (ユキノシタ科 アジサイ属
 コガクウツギの花序は装飾花と普通花からなるが、普通花の花弁と雄しべは、受精すると早々に脱落してしまう。装飾花はその後も少しの期間咲いているが、やがて垂れ下がり、脱落する。装飾花は花の存在を誇示するだけで種子は生産しない。大きな花びらをすべての花が付ける必要はなく、装飾花は訪花昆虫へのメッセージであり、普通花は資源を節約して種子生産にいそしむという事であろう。装飾花の花弁状萼は、普通花が咲き始める前に開き、花が終わってもしばらくは役割を果たしている。1株の花序は同時に咲くわけではなく、わずかに開花時期が異なっているし、群落としては当然、個体によって開花時期が異なる。その間も装飾花は花として存在し、訪花昆虫への目印になっている。ある程度の期間の開花は、花弁ではなく、萼であるからこそ可能なワザである。 
花が終わって、垂れ下がった装飾花花が終わった直後の若い果実
秋のコガクウツギ果実には、2〜3の柱頭が残る

1.コガクウツギ 2. 3.果実 4. 5.枝と冬芽
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