ヒサカキ  Eurya japonica Thunberg  (ツバキ科 ヒサカキ属
 ヒサカキは照葉樹林帯の二次林から極相林まで広く生育する低木から亜高木で、生育範囲がたいへん広い。照葉樹林域ならば、どこにでも、どんな森林にも生育しているという感じである。このような様々な生育環境に対応できる能力の秘密に関して、興味がもたれる。
 乾燥にも強く、尾根筋などでは低木状態で強い日照のもとに生育し、樹林の中では同じ種とは思えないほど大きくなる。乾燥に強い秘密の一つは、気孔の形によるらしい。アカマツと同様に、葉の裏面から陥没した位置に気孔がある「陥没気孔」を備えている。雄株と雌株があるが、山火事や伐採などによって性転換することも知られている。
 春にいち早く花を開き、独特のにおいで春の訪れを感じさせてくれる。果実はゆっくりと大きくなり、冬に熟す。ほぼ、一年間果実を付けていることになる。早春の花の少ない頃に花を開いて虫によって効率的な花粉媒介を行い、冬の果実の少ない頃に鳥により散布されるわけである。


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