サカキ Cleyera japonica Thunb. (ツバキ科 サカキ属) |
サカキは神事に使われる常緑の中高木。漢字では「榊」であり、まさに神様に捧げる木である。関東地方以西の温暖な地に生育する。葉は互生で、水平に広がり、玉串として使うにはもってこいの形状になっている。枝の周辺に葉が螺着するシキミではこうはいくまい。葉は全縁できょ歯はなく、端正で美しい。枝先の芽は細長く鎌状に湾曲しており、これを憶えればまず間違うことはない。神社では意図的に残しているためか、周辺の二次林に比べてたくさん生育していることが多い。岡山県では少雨の沿岸部で少なく、やや内陸側の森林で多くなる。もちろん海抜が高くなると少なくなり、500m以下の地域に多い。 神事には欠かせない木であるが、最近は「玉串:たまぐし」とかいっても学生さんには伝わりにくくなった。結婚式を挙げるときに、神前に奉納する木ですよ、と話しても披露宴中心のご時世ではわかりにくいのであろう。岡山県では、サカキが少ない沿岸域ではヒサカキをサカキの代用に使っており、冷涼な県北ではソヨゴで代用している。これらの常緑樹は、サカキと同様に葉が互生する性質を持っている。 ご先祖様をお祭りする際に使用する植物に、東南アジアを分布中心とするツバキ科の常緑植物をあてている。サカキを特に意識せず眺めると、特に神聖な樹木であるとは思えないし、特に薬効があるとの話も聞かない。サカキはヤブツバキとともに照葉樹として典型的なものであり、東南アジアから稲作とともにやってきた人たちが古里から持ち込んだ風習・文化の1つなのであろうか。 |
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サカキの花の画像がなかった。毎日のウオーキングコースを少しずれたところに墓地があり、その中を歩いて見ると道の上に見慣れぬ花が落ちていた。見上げるとサカキであった。早朝であるためなのか、花は十分に開いていないものがほとんど。しかし、路上に落下したものやクモの巣に引っかかったものはきれいに開いている。朝に開き始め、その後開ききって次の日には落ちてしまうのかもしれないと思いつつ、シャッターを切った。帰って画像を見ていると、半開きの花の中にアリが写っていた。この段階でも蜜をたっぷり分泌しているのであった。 雨の季節に目立たぬ花が葉に隠れて付いているので、今まで画像を得るチャンスがなかった。梅雨の季節に咲く花の1つであった(撮影:6月30日)。 |