ニワトコ Sambucus racemosa ssp. sieboldiana 
 ニワトコは本州から南西諸島に分布する落葉の低木。明るい谷筋や林縁など、比較的水分条件や土壌条件が良好な場所に生育する。高さは数mになり、根元から勢いのある太い茎が出て株立ちとなる。葉は2〜4対の小葉を持つ複葉であり、全体の長さは20cmほどで落葉樹にしては厚い葉である。葉が開いた後、4月の終わり頃に房状の花序を出し、クリーム色の小さな花をたくさん咲かせる。

ニワトコニワトコの花序(4/22)
熟し始めたニワトコの果実(5/25)果実を付けたニワトコ
花序のままに稔った果実果実の拡大
果実は5月の終わり頃には熟し始め、赤く熟して美しい。熟し始めた頃は赤いものと緑色のものが混ざっており、6月の中頃には大半が無くなっていることが多く、枝いっぱいに赤い実を稔らせているのに出会うことは少ない。開花から稔って散布されるまでは1ヶ月という短期間である。

 6月の種まきは、草本が既に生えそろっており、すぐに発芽するには適しているとは言えないだろう。果実の少ない時期に鳥に食べられて散布され、あとはゆっくりと時を待って発芽するか、競争相手の少ない場所で芽生えるのかも知れない。斜面下部や谷に生育することが多いが、梅雨時の増水跡の裸地も侵入の候補地であろう。

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