ギョリュウモドキ(カルーナ) Calluna vulgaris (ツツジ科 カルーナ属) |
5月の末、スコットランドを調査する機会を得た。市街地を離れて郊外の丘陵地帯に至ると景観が一変し、丘は褐色の植生に覆われていた。カルーナの繁茂するヒースである。気温がもっと上昇すると緑色が濃くなるのであろうが、早春の今は、まだ葉緑素が少ないのであろう。夏になるとこの山全体が開花し、薄紫色へと変化するはずである。 「ヒース」はスコットランドやアイルランド、スエーデン、フィンランドなどの荒地あるいはそのような場所に発達している植生を指す言葉であり、生育している植物そのものを指すこともある。優占種はカルーナであり、傾斜などの立地によって比較的乾燥している場所から、ミズゴケが生育するような湿原までの変異幅がある。火入れとヒツジなどの放牧によって維持され、場所によっては点々と樹木が生育しており、放牧や火入れが中止されると樹林へと遷移するものと思われる。 |