キリ Paulownia tomentosa Steudel (ゴマノハグサ科 キリ属
 キリの種子は風散布であり、どのような場所に落ちるかわからないが、芽生えて成長している場所の条件は、結構限られている。岡山理科大学や周辺地域を見る限り、建物の軒下に多い。軒下に芽生え、数年でひさしに当たってしまい、切り倒されているのをよく見かける。岡山理科大学構内に生育している場所をみてまわると、エアコンの室外機近くに生育している場合が多く、まことに面白い。
 建物の軒下では、雨が降りそそぐことが少なく、乾燥した場所になっている。このような、降水量に比べて蒸発量が多い場所では、しばしば塩類が集積して土壌のアルカリ化が発生する。特にエアコンの室外機があるような場所ではその傾向は強いであろう。砂漠の土壌に塩類が集積してアルカリ化が発生する現象と同じである。
 一方、岡山県南部の山火事多発地帯では、キリは初期に侵入し、いち早く大きくなって目立つ樹木でもある。谷沿いの水分条件の良い場所では数年で4mほどにもなる。春の山火事以降、散布されずに残っていた種子が散布され、植物の燃えた灰などを栄養分としていち早く成長する戦略か、と見ている。キリはアルカリ土壌が好きなのであろうか?


種名一覧にもどる / 科名一覧にもどる / 雑学目次にもどる / HPにもどる