オミナエシ(オミナメシ) Patrinia scabiosaefolia Link.  (オミナエシ科 オミナエシ属
 オミナエシは秋の七草の一つ。名前の「オミナ」は「美しい女性」の意味であり、同属のオトコエシに比べて弱々しいから。「メシ」の意味は不明であるという。子供の頃にはままごとでこの花を器に盛ってご飯(黄な粉ご飯)に見立てていた。ご飯の意味でも良いのかもしれない。漢字では女郎花と書く。全国の草地や林縁に普通な植物であったが、近年は少なくなった植物の1つである。

 夏から秋にかけ、長い茎を出して花を咲かせる。根元から横に茎が伸びて先端に新苗を形成する。これが来年の個体となる。このようにロゼット葉で冬越しを行うので、秋から初夏までの期間は草にうずもれた状態では開花することは出来ないであろう。普通は秋から春までの期間は枯草が地上を覆っているので、この枯草がない状態が望ましい。このように考えてみると、秋に草刈されるような場所が生育適地であることがわかる。ただし、草刈機で地上部をバッサリやられるとダメージが大きいかもしれない。オミナエシは鎌で地上から10cmほどのところで刈ってほしいに違いない。タンポポと同じように、人里の植物である。

 私のオミナエシのイメージは、畦でミソハギと一緒に咲く姿である。採草地などの半自然草地では少なくなっているが、岡山県の蒜山地域では、お盆の花としてオミナエシとミソハギが半ば栽培され、仏壇を彩っている。古から続いてきた風習である。
オミナエシ(オミナメシ) Patrinia scabiosaefolia
山道の法面に生育するオミナエシお盆の花に使われるオミナエシとミソハギ
オミナエシの花オミナエシのロゼット
訪花昆虫が多いオミナエシカマキリに捕まったハチ

 小さな花をたくさん咲かせる植物は、蜜によって訪花昆虫を引き寄せている例が多い。オミナエシもその例であろう。たくさんの花が時期をずらして咲くので、当たりはずれが少ないシステムになっていることも魅力の1つと思う。オミナエシを撮影していると、花にカマキリが待ち構えていた。少ししてみると、見事に鉢を捕まえていた。カメラ目線のまま、一心に腹部の先端から食べていました。ハチも蟷螂にはお手上げのようでした。
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