イガクサ Rhynchospora rubra (カヤツリグサ科 ミカヅキグサ属
 イガクサは本州近畿以西から琉球、台湾・中国・インドネシア・オーストラリアに分布する多年草。岡山県では沿岸部・低地の湿地周辺に生育することが多い。湿原周辺に多いとはいっても湿潤な環境に生育するわけではなく、粘土分を多く含む堅密な土壌に生育し、沖縄では石灰岩地域の路傍やマツ林中にも生育している。葉は根生し、夏に花茎をもたげて頭状に密集した小穂を形成する。このようすを栗のイガに例えたのが和名となった。
 粘土が多く堅密な土壌は植物にとっては根が張りにくく、良好な土壌ではない。しかし、表面が乾燥しても土壌中からは毛管現象によって継続的に水分が供給されるので、微量ではあるがコンスタントな水分供給は得ることができる。このような場所に生育する植物の根系は比較的貧弱であることが多い。イガクサもそのような植物の例であり、流紋岩地域や風化の進んだ石灰岩土壌などに生育できる。


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