シラタマホシクサ  コンペイトウグサ Eriocaulon nudicuspe Maxim.
 (ホシクサ科 ホシクサ属)
 スイランの花が咲き、イヌノハナヒゲの仲間の穂が熟し始めると、低地の湿原は秋の装いである。シラタマホシクサの群落もちょうどその頃に見ごろとなる。群生している場所で、無数の頭花が風に揺れている様子は独特の景観となる。

 シラタマホシクサは湿原の中で、特に遷移の初期段階の場所に生える。少し傾斜があり、植被がほとんど無く、鉱物質の土壌が露出し、常に水が流れているような場所に群生する。たとえば、モウセンゴケと生育立地はよく重なっているように思う。しかしそのような立地はあまり多くはない。何らかの要因により、遷移の初期段階である事と、貧栄養の湧水がある事が常に揃わなければ、小型の一年生草本が持続的に生き続けることはできない。シラタマホシクサ群落の維持には、絶妙な地形や湧水の状態が揃うことが必要なのだろう。
文章・画像:太田 謙
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