サギソウ Habenaria radiata (Thunb.) Spreng. (ラン科 ミズトンボ属) |
サギソウなど、ラン科植物の花の構造は複雑である。最も進化した仲間の1つとされ、虫媒花として高度に進化して来た姿なのであろう。日本の野生植物(平凡社、1999)にサギソウの花の解説があった。それを改変・引用しつつ、花を見てみよう。 ランの花の基本数は3であるので、萼片は3枚、花弁も3枚ということになる。萼片は中央上に向かって1枚(背萼片)、左右に下がっているのが(側萼片)で、両方とも緑色である。花弁の3枚は2枚が上側に左右2枚あって、合わさった形となり、その間から背萼片が見えている(側花弁)。中央下側の大きなサギの形のものが唇弁である。中心部分は複雑である。雄しべは大きくイメージが異なっており、Aの部分が葯室であり、ここの中に花粉が入っていることになる。Cが粘着体であり、これがAの葯室内の花粉塊とつながっており、粘着体が昆虫の体に付着して、花粉が運ばれることになる。Dが雌しべの柱頭であり、ここに運ばれてきた花粉が付着し、発芽して受精が行われることになる。Fが距の入り口であり、長いパイプの底に蜜が貯まっているので、蝶類のような、長い嘴を持っている昆虫でないと、吸蜜できないであろう。 @葯隔 A葯室 B仮雄しべ C粘着体 D柱頭 E嘴体 F距の入り口 |