ガマの解剖会
【写真&文章:越智正樹 2001/07/13】
 ガマを取ってきて、調べなさい! 先生のお言葉により、ガマの採取と解剖が始まりました。

 ガマは、ドブ臭く真っ黒でズブズブの土壌に生えていました。この臭いは硫化水素(H2S)、土の黒さは硫化水素と土壌中の鉄が反応した硫化鉄だそうです。硫化水素が発生するのはこの土壌が、還元状態になっているからです(酸素がある状態だとSOx・硫黄酸化物になります)。このような状態だとガマの地下茎は普通の手段では呼吸ができないことになってしまいます。そこで、葉でできた酸素を地下茎に運搬しなければなりません。そのためにのガマの茎・葉は断面図で見られるような空洞の多い構造になっているそうです。

 雌の花序は目に見える空洞はなく、とてもフサフサしていてい手触りがよいです。そしてそれを支える花茎の断面は特に空洞はなく繊維が詰まっているといった感じです。タケによく似た維管束があるのがわかります。

雌花序の断面花茎(上部)の断面

茎の断面(中部)茎の断面(下部)
 茎の中部から下部は花茎を葉の鞘が取り巻いています。

 葉は茎と同じように空洞の多い創りになっています、というかほとんど空洞です。そのため、柔らかく手触りがクッションのようになっています。この柔らかさもあって、編んでムシロ、座布団、カゴなどのガマ細工に用いられます。
葉の断面葉の断面

 地下茎は見かけがチクワのようです。このチクワは柔らかくすぐにちぎれるので掘り出すときは要注意です。始めは土壌も柔らかいので茎をひっぱたら地下茎もついてくるだろうと思っていましたが、これだと見事に茎だけしか抜けませんでした。根堀で掘って取り出したのですが、かすっただけで千切れてしまうし、結構深く掘らないと地下茎が見えてこないので何度か失敗しました。掘り終えてから考えればあれだけの大きさの体を、5cmないような細く柔らかい地下茎で支えるのは無理で、茎が深く埋まっているのはあたりまえですね。周りの白い部分(皮層)はとても柔らかくスポンジのようになっており、空気が十分に通れるようになっております。中心部には水や栄養分の通路である維管束があります。
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