ホウキネズ (ヒノキ科 ネズミサシ属
 ホウキネズはネズと同様に痩せ地に生育する。土壌の浅い山頂から尾根筋にかけての生育がよく目立つ。松枯れ木が林立していることが多く、マツ林の亜高木から低木を占めていたホウキネズが松枯れ後に残って目立つようになったものである。
 備前市を中心とする地域にホウキネズ型のネズが生育している。分布範囲はかなり明瞭であるように思われ、気候的な側面はあるかもしれないが、支配的ではないと思わざるを得ない。地質的には、有名なロウ石の産地であり、このことがホウキネズの分化に関連している可能性を考えている。ロウ石(滑石)は柔らかい鉱石であり、舗装道路や石板などに文字や絵を描く石筆として、あるいは印材としの利用はご存知の方もあると思う。工業的には耐火煉瓦や窯業の原料としての利用が主であろう。高圧・高温下において熱水によって変性して形成されたものであり、風化してもあまり栄養分が放出されないのか、熱水に関連する硫黄分などの存在が大きな問題なのかは確かではないが、どちらにしてもこの地域の土壌は大変劣悪であると推測される。
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