ネ ズ  Juniperus rigida  (ヒノキ科 ネズミサシ属
 ネズは岩手県以西の丘陵地帯に生育する常緑針葉樹。ネズミサシとも呼ばれ、枝をネズミの通り道に置いておくと嫌がるので、ネズミよけにしたという。モロノキという呼び名もあり、園芸上では杜松(としょう)と呼ばれ、盆栽に仕立てられる。成長は遅く、材は緻密で年輪幅が小さく、針葉樹の中では最も重い幹比重(0.54)である。葉の先端は鋭くとがって触ると痛く、裏に気孔列が白い筋となって見える。
 ネズは陽生の植物であり、生育には強い日照を必要とする。主に岩場や尾根などの痩悪地に生育し、成長は実にゆっくりとしている。岡山県の鷲羽山の測定例では、根際直径8cm・樹高8.5mで樹齢92年の例もあった。根本の平均年輪幅は0.43mm/年であり、ミクロンサイズの年輪幅の期間もあった。
 禿山などに生育する場合には、主幹が不明瞭となり、株立ち状となってたくさんの果実を稔らせる。周辺のアカマツなどが成長してくると、急激に伸長成長するが、アカマツなどの伸びにはかなわない。本来であれば、森林の生長に伴って少なくなっていくはずの樹種であるが、現在ではマツ枯れ跡地に点々と尖った樹形を見せている。現在生き残っている個体は、当分は安泰かもしれない。
 ネズは農作業などで様々な用途に使われてきた。株立ち状となったものからは背負い子や魚を捕るための網など、通直なものはイネを干すための「はで木」、床柱などにも利用された。
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