ヌートリア Myocastor coypus (げっ歯目 ヌートリア科 ヌートリア属)
 ヌートリアは、南アメリカ大陸からやって来た移入生物である。草食性で、餌は水草の実や根、若芽などであり、水田に侵入して稲も食べる。また、地中に穴を掘って巣を作るため、畦や堤防に穴を開けることもしばしばで、害獣として駆除の対象になっている。環境庁の統計(1996年)では、最も捕獲数が多いのは岡山県で、年間約800頭が捕獲、駆除されている。ヨーロッパでも帰化しており、イギリスでは10年がかりで100万頭を駆除し、絶滅させたそうである。帰化した移入生物が、その土地固有の生き物達の歴史や暮らしに影響を与えてしまうことは、やはり問題があると思う。しかし、ヌートリアは純粋に今を生きるために努力しているだけであり、いくら日本の生態系を守るためとは言え、ヌートリアの生きる権利を人間が奪うことが100%正しいとは言えない。全ては人間の身勝手さが招いたことなのである。私も身勝手な人間の一人である訳だが、さて、どうしたもんでしょうか...。

ヒシの中を泳ぐ
群れで暮らすヌートリアヌートリアの巣穴
10匹程の家族でしょうか?


文章・画像:森定 伸
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