イノシシによる被害の復旧作業 2003年2月15日 (続き)
 復旧作業は、地表面に露出しているリュウキンカの株を押しつける事にした。何分にもイノシシが掘り返した跡なので足場が悪く、作業は困難を極めた。

 周辺から鍬で均し、ひっくり返っているリュウキンカなどの株を植え直すのであるが、思うに任せない。足場が悪すぎるのである。
 きれいに耕されてしまった湿原は泥田である。ちょっと気を許すと50cmほども埋もれてしまい、長靴を抜くことも出来ない状態になる。こんな状況で、イノシシが掘り返している姿を想像すると、まともに歩いているとは思えない。泥の中でお腹を泥につけ、泳いでいるような状態で掘り返していたに違いない。

 とても一頭の仕業とは思えない。一家族以上の集団か? 地元の方のお話では、早朝と夕方に活動するらしい。最近のイノシシは、昔の行動パターンとは違うとの話も聞く。掘り返している姿を一度見てみたいものである。
イノシシは何を食べたのであろうか?
 ミミズを食べたのだという説がある。しかし、湿原の調査の中で、泥の中にミミズがいたという経験はないので、却下したい。この時期、ニホンアカガエルが冬眠しているので、これを食べたのだという説もある。ニホンアカが湿原の中で冬眠しているかどうかは知らないが、湿原を掘り返す労力に値する量が休眠しているとは思えない。少なくとも千単位の匹数が冬眠していなければ引き合わないのではなかろうか。
 ヨシの地下茎の先端を折り取って食べてみた。もちろん繊維は多いが、少し甘みがあって食べられる。ヨシの地下茎が浅い所にたくさんある過湿地を掘り返したのではないかと思う。カサスゲが群生していた場所も掘り返しているので、カサスゲの地下茎も食べたかも知れない。

今後どうなるか?
 リュウキンカやビッチュウフウロは食べ残されているとはいえ、大きな被害を被った。今年の春は無傷とはいえず、花は昨年ほどは見事ではないかも知れない。しかし、これらの植物の競争相手であるヨシやカサスゲなどは、より大きな被害を受けたはずである。結果的にヨシやカサスゲが減少し、リュウキンカが見事に開花する群落が形成されるのではないか、と思っている。今年の春、来年の春がそのような状態になるか、興味深い。

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