タラヨウ Ilex latifolia (モチノキ科 モチノキ属
 タラヨウの葉は大きくて厚く、長さ20cmほどになる。日当たりの良い場所ではやや葉の長さは短く、日当たりの悪い場所の葉は細長い。裏面は滑らかであり、ほとんど葉脈らしい物は見えない。周辺には微細な鋸歯がある。葉の裏面に堅いもので字や絵を書くと、その部分がやがて黒くなって浮き上がる。そのまま乾燥すると、この黒い部分はそのまま残るので、保存することができる。研究室には、20年もののタラヨウの葉があり、ちゃんと現在も読める。
 タラヨウの和名は中国の多羅樹に由来するという。多羅樹とは、広辞苑を引用すれば「ヤシ科の常緑高木。原産はアフリカであるが、インド・ビルマなどの乾燥地帯で栽培され、高さ20mになる。葉からはムシロ、扇、わらじ、帽子、傘、紙を作る。(一部省略、改変)」とある。紙を作って字(経文)を書く多羅樹と字が書けるこの木を関連させた名前である。葉書の木とも呼ばれ、ときおり郵便局の前庭などに植栽されており、説明版があったりする。
 裏面に字が書ける植物としては、まったく仲間はことなるものの、セイヨウバクチノキがある。


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