アベマキ Quercus variabilis Blume (ブナ科 コナラ属) | |
アベマキの地上部と地下部 アベマキのドングリは10月頃から落下し始める。この時期はまだ気温・地温も高く、落下したドングリは眠せず、すぐに発根し始める。本格的な冬の到来までの期間に根は地中深く伸びる。地温が5℃以下になるまでは伸張するので、冷蔵庫の中に入れておいても根が伸びてしまう。春に地上部を出すまでには、すでに20cm以上の深さまで、根を発達させているわけである。大きなドングリの中には大量のデンプンが貯蔵されており、この豊富な貯蔵エネルギーがあるからこそできる事かもしれない。 アベマキの稚樹は地上部に比べて地下部が大きく、気軽に掘り取ろうとすると、大変な思いをすることになる。画像の個体は地上部約30cm、地際の茎直径は5mmほどであるが、地下部の根は長さ40cm、太さ10mmもある。先端部分は切れているので、実際にはもっと長かったはずである。重量比では、地下部は地上部の2倍近い。 アベマキの根系は、主根と側根の区分が明瞭であり、主根は地中深く伸びて直根となっている。今までの調査では、2.9mの深さまで直根が達していた例がある。このような、直根が発達する植物は多くはない。地中深くまで伸びた直根は土壌を縛り、土砂崩れを防止する力は大きいであろう。 太い直根はどのような役割を果たしているのだろうか。直根は植物体を支えるためには大きな役割を果たしているかもしれないが、稚樹の段階ではその必要はまだないはずである。根は細ければ細いほど養分や水を吸収する能力が高い。表面積が広いからである。太い直根は吸収に関しては、ほとんど貢献していないであろう。デンプンなどの貯蔵庫としての役割を果たしているのかもしれない。 |
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