ヤナギラン Chamaenerion angustifolium (アカバナ科 ヤナギラン属
 大学の夏季休業中に訪れるカナダの山々の植物は、花を楽しむには残念ながら少し遅い。そのような環境の中、次々と上へ上へと花を咲かせることができる無限花序の植物は、天候がよければ花を咲かせて待っていてくれる。ヤナギランもそのような植物の1つで、夏に花を咲かせている。

 今回のヤナギランとの出会いのポイントは2つ。1つは一面のヤナギランのお花畑である。樹木がない状況でヤナギランだけが斜面を覆っている。森林火災の跡地であるとにらんだが、証拠を見つけることができるほどは立ち入ることが許されない。人為的に山林火災を発生させる実験を行っているカナダなので、厳重に保護されてはいるものの、山林火災も自然の1つということかもしれない。

 もう1つの面白かったことは、白花といってもよいような、薄いピンクのヤナギランに出会えたことであった。顎が濃い赤紫である点はよく似ているが、全体として色が薄くなった感じ。花だけ見ればこれも結構美しい。しかし、この白花のヤナギランは個体数としてはごくわずか、ガイドさんも今回が見たのは初めてとの事。群生する様は圧倒的に濃い赤紫の花が美しい。おそらく、濃い方が優性なのであろう。
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