セツブンソウ Shibateranthis pinnatifida (キンポウゲ科 セツブンソウ属) |
セツブンソウは本州の関東地方以西に分布する、高さ10センチほどの小さな多年生草本。山地のブナ林など、落葉広葉樹林の林床に生え、石灰岩地を好む傾向がある。和名は節分の頃に花をつけることに由来するが、山地での開花は3月上旬となり、節分には間に合わないようである。それにしても、早春に花をつける植物種の中においても、開花時期の早さはトップクラスであろう。セツブンソウは地下の1.5センチほどの塊茎から、数本の茎を伸ばし、不揃いに分裂した苞葉をつける。花茎の先に2センチほどの白色の花をつけるが、花弁に見えるのは、実は萼片である。花弁自体は退化して黄色の蜜槽となり、多数のおしべと共にめしべの周りに並んでいる。めしべは2〜5個あり、5月の中ごろに熟し、種子を蒔いた後で地上部は枯れてしまう。 セツブンソウは、ほかに花の無い時期に小さく可憐な花を咲かせることから、愛好家の間ではかなり採取の対象とされているようである。確かにもって帰りたくなる気持ちもわかるのですが、季節を感じながらセツブンソウに会いに(途中の道の駅で買い物しながら)行くのもなかなか楽しいですよ。 |
文章・画像:森定 伸 |