オヒルギ  Bruguiera gymnorrhiza (ヒルギ科 オヒルギ属
 沖縄島慶佐次湾のマングローブ林では、河口域ではオオバヒルギが最も多く、オヒルギは点々としか生育していない。来訪したのは年末であったが、独特の赤い花はつぼみのものから胚軸を伸ばし始めたものまであった。図鑑によれば花期は5月から6月とのことであるが、少数であれば年中開花しているのではないかと思う。顎筒は赤色を帯び、先端が10〜13に分かれて面白い。花弁は顎の中に隠れており、クリーム色。
 葉は対生であるが、一目で対生とわかるのは勢いのあるシュートであり、生長した枝では短枝となって輪生のように見える。オオバヒルギと葉の形はよく似ているが、慣れてくるとオヒルギの葉は下のものが垂れる傾向があり、葉柄がしっかりとしており、葉がすべて光の方向を向いている傾向が高いオオバヒルギとの違いがわかるようになる。
 支持根はあまり発達しない。地中に入った根は所々で空中に出て呼吸根となる。慶佐次湾では呼吸根があまり顕著ではなかった。おそらく土壌の粒度組成との関係があるのであろう。オキナワワナジャコなどの活動もあって、堆積が進むとオヒルギの支持根や呼吸根は隠れてしまう。幹は大きな皮目が形成され、根部への酸素の補給の役割を担っているのであろう。
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