カラスザンショウ Zanthoxylum ailanthoides (ミカン科 サンショウ属
 私の所属する学科が入っている21号館の植え込みにカラスザンショウの若木が生育している。一度誰かに切られてしまったが、しっかりと再生している。誰かが種名の看板をかけてくれたので、今後は大丈夫だろう。この近隣にはカラスザンショウは生育していないが、芽生えてくれた。なぜだろうか?
 カラスザンショウの根元には、これも近隣には生育していないコモチシダが生育している。これは当時院生であった中村君が採取してきて、標本にするのがかわいそうになって植えたものである。おそらく、その土の中に混ざっていたカラスザンショウの埋土種子が発芽したものに違いない。彼の記念樹となったわけである。サンショウの仲間は伐採跡などに生育するのを得意とし、森林が攪乱されるのを土の中で種子でじっと待っている。

 1枚目の画像は芽生えて3年目。一度伐採されてしまったにもかかわらず、2002年の7月の段階で高さ1mを軽く超えている。2枚目の画像は2003年の5月の画像。一挙に大きくなって、3本に枝分かれして広がり、地上部が大きく傾いてしまっている。そういえば、森林の中に生育しているカラスザンショウも傾いて他の木に寄りかかっていることが多い。
 2003年の秋には窓の高さを超えており、樹高は3mを軽く超えていると思う。根元直径は6.5cmまでになっており、昨年の2cm弱から4cm以上も太くなっている。大変な急速生長である。森林の中で倒木などによって形成されたギャップで芽生え、急速に伸びて種子を生産できることが、身近に生育していてはじめて理解できた。かなりの大木でもたいした樹齢ではないのかもしれない。

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