カラスザンショウ Zanthoxylum ailanthoides (ミカン科 サンショウ属
 カラスザンショウは秋になると果実を房ごと落下させる。落ちた物を見ると、果肉は閉じたままであり、やがて乾燥すると果肉が割れて中から黒い種子が顔を出す。ミカン科特有の香りがあるので、香袋の中身などに利用する人もある。
 山道を歩いていると房ごと落下したものが目立つが、真冬でもかなりのものは枝先に残っているようである。このようなものの一部は鳥によって食べられ、散布されるに違いない。それでも残ったものは新葉の展開時に落下するのであろう。できれば鳥によって遠隔地へ、残ったものは足元へ散布するということなのであろう。
 房ごと果実を落下させると、一ヶ所に何百という数の種子がかたまって播種されることになる。芽生える時にはたくさんの芽生えが密集することになってしまうが、たくさん芽生えたものの中から、最もその場に適した強い個体が生長する戦略なのであろうか? 熱帯にはたくさんの種子が集まった集合果というものがあるそうで、それに似た方法かもしれない。

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