ヤブツバキ Camellia japonica L. (ツバキ科 ツバキ属
 ヤブツバキは東北以西の暖地に生育する常緑の小高木である。照葉樹林(シイ・カシ帯といってもよい)の代表的な種である。葉の表面にはクチクラが発達しており、光沢がある。花は冬から早春にかけて咲く。この季節は花を訪れる昆虫が少なく、花粉の媒介は主にメジロなどの小鳥が行っている。この季節、森を訪れると顔がヤブツバキの花粉で真っ黄色になっている小鳥を見ることができる。
 岡山県でも照葉樹林帯には広く分布するが、降水量の少ない沿岸地帯では発見するのにかなり苦労する。雨量もさることながら、植生の貧化が激しく、土壌の薄い乾燥した場所では十分には生育できないようである。
 ツバキは冬の花の少ない季節に咲く花として、古来からサザンカとともに品種改良されてきた。中国でも古くから栽培されており、19世紀にはヨーロッパで大流行し、その後はアメリカで流行があった。ツバキの種子は油を大量に含んでおり、ツバキ油が採取される。ツバキ油は灯明・薬・化粧などに使用され、重要な油用植物であった。油を採取する目的で、ヤブツバキを残したためにヤブツバキの純林となった場所もある。


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