リョウブ Clethra barvinervis Sieb. et Zucc.  (リョウブ科 リョウブ属)
 リョウブは根を地表面直下に発達させ、直根がない。したがって倒れやすい。1枚目の画像は枯損したマツ枯れ木が除去された結果、風当たりが良くなって倒れたリョウブである(岡山市少年自然の家)。もともと谷底の土壌が厚い場所に生育していたのだが、根は地表直下だけで薄く、地上部に比べて発達が良くない。実際に重機などで引き抜き試験を行ってみると,簡単に抜けてしまう。2枚目は木の近くに溝を彫ると、倒れてしまったものである。直根を深く発達させるコナラなどではとても考えられないほど簡単に倒れてしまう。
 地表面直下の層は地表の落葉が分解し、栄養分が供給される場所であり、栄養分を吸収するには最も有利な場所である。しかし、強い風に耐えるためには、根を深く張ることも必要である。リョウブは地表面直下だけに根を発達させており、栄養分を吸収することには効率的であるが、植物体を支えることには不向きである。しっかり根を張ったコナラやアカマツの樹下では特に問題はないが、風を遮ってくれていた高木がなくなると、とたんに倒れてしまう。
 リョウブは根が浅いために、倒れないまでも幹が斜めにかしいでしまうことが多い。その際には根元からたくさんの新しい幹が再生する。このような性質を持つ樹木は,常に根元に休眠状態の不定芽を準備しており,倒れかかると芽が覚醒し、急速に成長してやりなおしをはかる。もともとこのような性質を持っているので、伐採されても簡単に再生する。二次林に多い樹木であるのも,このような性質を持っているからである。


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