セイタカアワダチソウ Solidago altissima L. (キク科 アキノキリンソウ属) |
セイタカアワダチソウは根や地下茎からアレロパシー物質(ポリアセチレン化合物など)を分泌する。アレロパシー物質は他種だけでなくセイタカアワダチソウの種子発芽も抑制してしまう。このためにセイタカアワダチソウの繁茂する場所では新たな植物の侵入は困難になり、地下茎で繁殖するセイタカアワダチソウの天下となる。このような能力はセイタカアワダチソウに限ったものではなく、非常に多くの植物が他の植物への成長阻害物質を生産していることがわかっている。ヨモギやヒメジョオン属の植物も同様な能力を持っていることが知られており、ススキなどのイネ科植物の発芽を抑制すると言う。 このように見てくると、セイタカアワダチソウやヨモギが繁茂すると当面、これらの植物が覇権を握ることになる。その時点で、ススキが侵入しているならば、やがてゆっくりではあるが、ススキが優勢となり、セイタカアワダチソウの勢力は弱くなっていく。ススキよりもセイタカアワダチソウのほうが、背丈は高くなれるので単純にセイタカアワダチソウが被陰されているわけではないが、ススキなどの枯れ草が地表を厚く覆ってしまうと冬の間ロゼット葉を形成して稼いでいるセイタカアワダチソウにとっては、住み難くなるのではないかと思う。 毎年草刈りが行われる場所ではセイタカアワダチソウの繁茂が長い年月継続する。刈り取りが行われない河原でも、元来オギが生育するような場所では往々にしてセイタカアワダチソウの群生が見られる。冬にオギ群落の中に入ってみると、意外に群落の地面は落葉が少なく、5月のオギが芽だしをする頃まで明るい状態が継続される。このような場所はセイタカアワダチソウの群生が可能なのであろう。 |