ヒノキ Chamaecyparis obtusa (Sieb. et Zucc.) Sieb. et Zucc. (ヒノキ科 ヒノキ属) |
樹皮は基本的に腐朽しにくい物質でできているはずであり、リグニンなどが代表格なのであろう。このような腐朽しにくい性質に着目した樹皮の使い方の例として、古来から続けられてきた桧皮(ひわだ)による屋根がある。美しい曲線で構成される桧皮葺の屋根は神社建築ならではないかと思うが、詳細は不勉強で知らない。 桧皮はヒノキの樹皮を剥いで作るが、ヒノキの樹皮ならばどんなものでもよいというわけではなく、枝の無い成木の樹皮が剥ぎ取られる。もちろん毎年採取できるわけではなく、数十年の間隔をおかなくては、十分な厚さにはならないはずである。ヒノキの植林地はたくさんあるが、放置されたものが多く、下枝がたくさんあって使えないであろう。文化財保存のピンチである。桧皮を採取した直後のヒノキの樹皮は茶色から赤紫色で、虹のように光り輝いて美しい。日本古来の色の呼び方に桧皮色という呼び方があるそうで、落ち着いた中に華やかさがある色である。 |