イチョウ Ginkgo biloba L. (イチョウ科 イチョウ属)
 イチョウは時折、気根を出すものが見られる。枝や幹の一部から根が発達し、垂れ下がるが地面にまで届くほど長くなったものは見たことがない。気根を乳房に見立て、子宝に恵まれるよう、あるいは安産のシンボルとしてあがめられることもある。
 気根は熱帯から亜熱帯の汽水域に発達するマングローブの構成種に典型的なものがある。ラクウショウでは、地中の根から気根が立ち上がる。土壌中に酸素が少ない沼地に生育する植物が気根を発達させるのは理解しやすいが、枝から気根を伸ばすことの理由は、なかなか難しそうである。イチョウなどの裸子植物が全盛だった時代の生育環境を知りたいものである。
 イチョウは全ての個体がこのように気根を出すわけではない。下の画像は岡山県真庭郡八束村の福田神社のイチョウである。この神社には社殿の前、東西に2本の大きなイチョウがあるが、東側の個体は気根を出していない。ちなみに、このイチョウは眼通り周囲6.5m、樹高23mで樹齢670年と推定されており、村の天然記念物に指定されている。雄株である。
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