コモチシダ Woodwardia orientalis (シシガシラ科 コモチシダ属
 初夏、コモチシダは葉の表面に無性芽を形成する。胞子嚢群と胞子嚢群の間や末端から突起が形成され、やがて葉が1枚出てくる。これがやがて親株を離れて散布され、新たな個体として定着・成長していく事になる。このような無性芽が形成されていれば、見当を付けやすいが、いつも付いているとは限らない。
 無性芽を形成するシダ植物にはクモノスシダツルデンダなどいくつかあるが、崖などに生育するものが多い。コモチシダも崖などの急傾斜地に生育し、無性芽によって確実な繁殖を確保しているものと思われる。しかし、大型のシダなので、無性芽のばらまきが効果をあげるほどの大きな湿った崖はあまり見かけない。日本のスケールに合致した戦略ではないのかもしれない。
 湿潤な崖に生育することが多いコモチシダであるが、移植すると乾燥した立地でもよく生育する。侵入・定着の条件と生育可能な環境は大きく異なっている。無性芽も乾燥には弱い。
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