毛無山の植生   岡山県真庭郡新庄村 標高1218m

ふもとから見上げた毛無山
落葉樹の間からスギが超出している。
 岡山県の北西部に「けなしやま」あるいは「けなしがせん」と呼ばれる標高1218mの山がある。

 この山は元々民間の林業会社の所有であり、スギの大木がたくさん生育しているので林業的価値は高く、毎年のように、伐採の申請が出されていた。ほれぼれするようなすばらしいスギであり、林業会社が伐採したいのは、大変よくわかる。しかしながら、このような森林は岡山県では当然として、中国山地にもほとんど残っていない事も事実であった。

 このような状況の中、岡山県はこの地域を買収することを決断し、平成6・7年に中心部の197ヘクタールを購入した。子孫に残す自然として、伐採させずに購入することとした、岡山県の英断を高く評価したい。

 平成14年3月には、大山隠岐国立公園に編入されました。手軽に登山でき、登山道も整備されているので、トレッキングにも適している。

 原生な自然が残されている毛無山であるが、山麓では「たたら製鉄」が行われていた。山裾の尾根はかなり削り取られたようで、当時は製鉄用の炭を生産するために森林が強度に伐採されたはずであるが、毛無山までは伐採されなかったようである。地理的な問題だけなのか、何か理由があるのかは知らないが、残った自然はすばらしい。

頂上から見たふもとの田浪の集落
田植えが済んだばかりの水田が白く光っている(5月15日)

山裾では現在も林業が盛んであり、造林が行われている。
スギの生育も見事であり、比較的よく手入れされた植林が見られる。