毛無山の植生 谷から斜面の中部まで
 ブナ林の谷を流れる小川はいつも清らかである。豪雨のさなかでも濁りもせず、水量もほとんど増えたとは思えない。
 ブナ林の豊かな土壌が雨を吸い込んで貯留し、晴天時でも豪雨時でも変化のない水が谷にはわき出して流れている。
 緑のダムという言い方があるが、森林そのものではなく、ブナ林の作り出した豊かな土壌が水をため込んでいる。
 山裾から中腹までは、スギの巨木が広葉樹の新緑と美しいコントラストを示している。スギは谷筋に多く、海抜1000m付近まで点々と生育が見られる。
 スギの生育は均等に分布しているのではなく、集団を作っている傾向がある。スギは鉱物質土壌の場所で発芽・生長することが多く、過去に土砂崩れや倒木によって鉱物質の土壌が露出したような場所でかたまって生育することが多い。

 スギの直径は1m前後のものが結構ある。周囲のブナも結構太いので、比較していただくとその大きさがわかってもらえそうだが、大きさに圧倒される。周囲のブナは樹高20mをはるかに越えており、スギは樹高30mを越えているに違いない。