毛無山の植生 ブナ林
ブナ林
 海抜1000m以上の尾根筋に発達しているブナ林の林床にはチマキザサが密生している。積雪が数mはあると思われるこのような場所では、積雪に耐えることができる植物が生育する。
 ササは雪の下ではひれ伏し、雪溶けの直後から立ち上がる。雪崩が発生しても被害はほとんどないであろう。ひれ伏したササは、逆に雪崩を誘発しやすい。このために低木は生育しにくく、ササにとっては積雪が自らの生残に貢献することになる。

 尾根筋のブナを見ると、太いものから細いものまで様々なサイズがあり、古くから生育している個体と新しく侵入した若い個体がまとまって1つの森林を構成しているように見える。
 しかし、成長速度に違いがあるだけで、ほぼ同じ樹齢である例が多いことが知られている。毛無山の場合は十分に調べられていないが、似たような状況ではないかと思っている。

 ブナは地表面直下に根を張り巡らせる。その量は他の樹木に比べて多いのではないかと思う。人によって踏みつけられて裸地になった場所では、多くの根が露出している。この豊かな根によって土壌の流出が抑えられ、土壌が発達する。