毛無山の植生  ブナ林の背腹性
東西方向の尾根では、植生に明瞭な背腹性が見られる。この画像では、左側が北斜面、右側が南斜面である。南斜面の林床はササとなっており、北斜面には低木が繁茂している。尾根道を境に、まったく林床植生が異なっているのである。

 このような尾根筋の山道にはカタクリが生育している。昔から完全に樹林に覆われることがない環境が続いてきたのであろう。

 積雪による背腹性に関しては、冬の蒜山を参照
 冬、風は北西から吹くので、雪は南斜面に吹き溜まり、積雪量は北斜面に比べて多くなる。このために雪崩も発生しやすく、このことが植生の違いに大きな影響を与えている。

 生育している高木の本数は北斜面に比べて少ない。木と木の間が広く、低木がほとんど生えていない状況で、まるで刈り込んだかのようである。
 積雪と雪崩に耐えて生長できた高木の数が少ないということであろう。現在の高木は、大変な苦労の末の姿である。