キヅタ Hedera rhombea (Miq.) Bean  (ウコギ科 キヅタ属)
 キヅタは北海道南部から琉球、朝鮮に分布する常緑のツル植物。名前は「木蔦」であり、同じように木にのぼる夏緑性のツタと比べて木本的であることを意味している。同様に夏緑性のツタと比較し、冬にも葉がある「フユヅタ」という異名もある。
 地表を這ったり樹木にのぼる。茎の各所から根(気根)を出して付着する。巻き付くことはないので、締め付けて寄主の樹木を枯らすことは少ない。樹木に登る場合には落葉樹を寄主とする場合が多い。落葉樹が葉を落としている期間に強い光を得て高い能率の光合成を行っているに違いない。
 葉の形は変異が大きく、3〜5つに浅裂するものから、ひし形で全縁のものまである。10月から12月にかけ、散形の花序を付ける。花序には黄褐色の鱗状の毛が多い。果実は黒く熟し、直径6〜7mm。
 この仲間(カナリーキヅタなど)は品種改良されて多数の品種がある。耐陰性が高く、乾燥にも強い性質を利用し、道路分離帯の植え込みの地被として、あるいは壁面の緑化、室内の緑化などにも利用されている。壁面の緑化では、垂れ下がる傾向が高いので、壁面の上部に植え込み、垂らす形で利用される。
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