クスノキ Cinnamomum camphora (L.) Sieb. (クスノキ科 ニッケイ属
 近年、クスノキの高木が街路樹やビルの前庭などで、緑化に使用されることが多くなってきた。クスノキは毎年葉を落とすので、常緑樹の中では葉の量が少なく明るい印象があることと、虫害などの被害にあいにくいことも好印象なのであろう。
 2005年の生態学会は、大阪国際会議場で開催された。訪れてみると、1Fは2階ほどの高さを持つ大きな吹き抜けとなっており、クスノキの高木が多数植栽されていた。2階の喫茶ルームから見る景観はなかなかのものである。緑がほとんどない都市空間の中では、得がたい風景となっている。
 しかし、注意してみると植えられたクスノキは惨憺たる状況である。周辺に植栽されたものはそこそこ葉を付けているが、中心部のものは葉が少なく、枝も枯れてしまっている。どの程度の日照条件でクスノキが生長できるかを教えてくれる実証実験の場と思えてくる。このような空間に樹木を植栽する場合、どの程度の照度が実現できるのか、どのような樹種が適切なのかが検討されたのか、疑問がわいてくる。少なくとも光ファイバーや反射板などによる光の補給が必要であろう。このような形で人間に奉仕させられる樹木はたまったものではない。
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