ヤマナラシ Populus sieboldii (ヤナギ科 ハコヤナギ属)



 昔の研究室の窓越しの斜面で小規模な土砂崩れが発生した。梅雨の始まりの頃にちょっとした豪雨があったためである。もともと水がしみ出るような斜面であり、その表層部分が流れてしまった。ちょうどその頃にヤマナラシの種子が散布されたのであろう。見事なヤマナラシの群落が形成された。ヤマナラシの種子散布は、日本の梅雨時とタイミングを合わせているようで、おもしろい。
 春の新葉展開の時期は美しく、春の到来を感じさせてくれていたが、やがて大きくなったヤマナラシは次々と倒れ、本数が少なくなってしまった。倒れた木を見ると、虫に食われて腐朽してしまっている。カミキリムシの仲間が柔らかい材を食害しているわけである。
 ヤマナラシは、このようなやや湿った裸地に侵入して急速に成長するが、個体としての寿命は比較的短く、新たな裸地を求めてさまようパイオニアプランツである。
崩壊地に発生したヤマナラシの群落カミキリムシによって食害を受け、折れたヤマナラシの幹

1.ヤマナラシ 2.ヤマナラシの葉 3.ヤマナラシの戦略 4.ヤマナラシと毛虫 5.ヤマナラシの種子

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