カタクリ Erythronium japonicum (ユリ科 カタクリ属)
 カタクリは早春植物の1つであり、早春から初夏にかけての短い期間で1年の生活を終える。したがって、この季節の生育環境が、本種の生育を支配することになる。岡山県の生育例では、北斜面であることが多く、前ページの群生地も北斜面である。しかし、生育は北斜面に限られているわけではなく、本ページの生育地は、石灰岩地域の渓谷の谷底に近い南向き斜面である。高木層は落葉広葉樹であり、低木層にはアオキなどの常緑広葉樹も散生しているが、林内は明るく、露岩の間にイチリンソウミスミソウキツネノカミソリノカンゾウ、サイハイラン、ジャノヒゲスズシロソウナガバタチツボスミレなどが生育していた。土壌は適湿であり、春に木漏れ日が当たる場所が生育適地のようである。斑があるカタクリの葉は、半日陰の木漏れ日に対応したものであり、強い直射日光は苦手なのではないかと思う。
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