タギョウショウ Pinus densiflora form. umbraculifera (マツ科 マツ属)
タギョウショウはアカマツの品種であり、「多行松」である。根元からたくさんの幹が分かれて立ち上がっており、高木にはならない。ダイオウショウは園芸品種であるが、自然では、同じような性質を持ったアカマツの品種であるウツクシマツが滋賀県などで生育しており、天然記念物に指定されている。このウツクシマツは岩手県・長野県・岡山県などでも報告されており、点々と生育が見られることから、母種のアカマツから、時折変化してできるものではないかと思う。タギョウショウのような変わりものは、種で繁殖させると同じ性質を持ったものができにくく、接ぎ木で殖やす。
タギョウショウは、庭園や公園などに植栽されているのを見ることがあるが、西日本では見かけることは少ない。中部以北では時折見かけることがあり、仙台の東北大学構内のタギョウショウは大きく、美しかった。庭園木に利用される寿種は、北に至るほど針葉樹が重用される傾向があり、タギョウショウは常緑針葉樹としてはおもしろい樹形であることから、注目されているのであろう。