カンサイタンポポ Taraxacum japonicum Koidz  (キク科 タンポポ属
 秋、夏草が枯れ始めるとカンサイタンポポは活動を始める。夏草が枯れても地表面を覆っている状態では光合成が出来ないので、草が刈り取られる農耕地周辺の草地が生育に最適な場所であることになる。秋に出る葉は比較的小さく、地面を覆ってロゼットを形成している。真冬はさすがに低温で十分な活動が出来ないのか、葉が赤く紅葉していることもある。葉緑素が減少して地の色が見えている状態である。春になると再び葉は緑の色が鮮やかになり、新しい葉を広げてくる。この時期の葉は地面にへばりついているので、草刈りが行われてもあまり大きなダメージはないかも知れない。
 ゼミ生が秋のカンサイタンポポを掘り取って帰ってきた。地上部に比べ、立派な地下部であり、しっかりと栄養分を貯蔵していることがわかる。複数の個体が絡み合っているように見える株があるが、これは2つの個体が近くに芽生えたのではなく、1つの個体が横に分裂し、しだいに2つの個体に分かれつつある状況なのである。ロゼットを形成する多年草には時折みられる現象である。生長点が1つでは大きな株になれないので、生長点も増やしつつ、地下部も充実させている。

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