蛇ヶ乢(オロガタワ)湿原(岡山県)
  • 位置:岡山県真庭郡川上村の上蒜山(カミヒルゼン)と皆ヶ山(ミナガセン)との鞍部(海抜680m)に発達する面積約70aの湿原であり、岡山市に流下する旭川の源である。
  • 主な植物:イワショウブノハナショウブオオイヌノハナヒゲなどが特徴的。ミズゴケ類はコアナミズゴケオオミズゴケ
  • 特徴:中央部がわずかではあるが盛り上がっており、湖沼が陸化して形成された湿原であり、形態的には高層湿原と類似している。流れに沿って随所に深い小池がある。この小池は「谷地眼」と呼ばれるタイプのものであり、開口部が50cm程度でも深さは2m近くもある。炭素同位体による年代決定の結果、約6500年の歴史を持つものと推定されている。

下図のXから10mほど離れた場所に生育しているクロマツから撮影した蛇ヶ乢湿原の全景
1974年作成の植生図(Hada,1977)

凡例
コアナミズゴケ群落
  先駆相・・・・・・・・・・・・1
  シロイヌノヒゲ群・・・・・2
  イ群・・・・・・・・・・・・・・3
  コイヌノハナヒゲ群・・・・4
イヌツゲ−ミヤコイバラ群落
  ミヤコアザミ群・・・・・・・・5
  オオミズゴケ群
    ミズオトギリ小群・・・・6
    オトギリソウ小群・・・・7
    サワフタギ小群・・・・・8
池・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
蛇ヶ乢湿原のX−X’断面
 土壌の区分は灼熱減量を示している。
 浅い池の時代があり、堆積物の中にはけい藻の殻が含まれている。やがて池の南側(図の右側)から湿原化が始まり、やがて中央部の発達が顕著になっている。
 池は深さ2mほどもあり、昔の流れの一部が残ったものと考えられる。
    関係論文
    • Hada,Y.(1977) The vegetation of the Orogatawa moor, Okayama Prefecture, S.W.Japan,Bull. Hiruzen Research Inst. 3:53-58.
    • 波田善夫・三好教夫(1980) 蛇ヶ乢湿原(岡山県)における堆積物の生態学的研究.岡山理科大学蒜山研究所研究報告、4/5:39-47.
    • 三好教夫・波田善夫(1975) 中国地方の湿原堆積物の花粉分析学的研究 T.蛇ヶ乢湿原.第四紀研究,14:161-168.
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