アカエゾマツ  Picea glehnii (Fr. Schm.) Masters    (マツ科 トウヒ属
 アカエゾマツは北海道と東北地方の一部、南千島、樺太に分布する常緑針葉の高木。北海道の主要な樹木の一つであり、道内では特に北部と東部で多い。大きなものは樹高20m以上、直径1mに達し、エゾマツやトドマツなどと共に針葉樹林を形成する。エゾマツやトドマツが適潤地に優勢なのに対して、アカエゾマツは岩礫地や湖岸、湿原の周辺の湿地、蛇紋岩地などの条件の厳しい場所で優占することが多い。木材として優れており、建築用材、製紙、楽器などに用いられ、北海道ではトドマツと同様によく植林されている。
 アカエゾマツは、最終氷期には本州に分布していたことが、各地で見つかる化石により明らかにされている。氷河期が終り、温暖化・多雪化するに伴いしだいに北へと追いやられたと考えられ、岩手県早池峰山(はやちねさん)に遺存的に分布しているのが注目されている。
 樹皮は不規則に剥がれてささくれ立つ。色は赤みがかっていて、本種のわかりやすい特徴の一つである。名前の「赤蝦夷松」は、北海道に生え樹皮の色がエゾマツに比べ赤いことによる。
文章・画像:太田 謙
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