アカエゾマツ  Picea glehnii (Fr. Schm.) Masters    (マツ科 トウヒ属
 アカエゾマツの生育地は、山地の岩礫地や、湿原の周辺部の過湿地であり、適潤地に優占するエゾマツやトドマツと住み分けている。適潤地の林にもアカエゾマツは混生するが、主に優占するのは、立地条件が厳しい場所である事がほとんどである。
 下の画像は、北海道落石湿原の周辺部のアカエゾマツ純林である。海岸べりの段丘上にある湿原の三方を取り囲むようにアカエゾマツの林が発達している。樹高15m程度のアカエゾマツが優占し、低木層と亜高木層はアカエゾマツの小径木がわずかにあるくらいで、林内は非常にすっきりと見通しがよい。林内は比較的明るく、林床には一面にミズゴケがマット状に広がり、低い部分にミズバショウ、微凸地にイワツツジ、ゴゼンタチバナ、ハイイヌツゲ、リンネソウなどが生育していた。このような林が、針葉樹林帯における湿地の林の一つの典型なのかもしれない。
文章・画像:太田 謙
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