クロマツ Pinus thunbergii  (マツ科 マツ属)



 クロマツは本州・四国・九州・沖縄の各地に生育する二葉松類である。潮風に強いので、海岸域の防風林などとして植栽されてきた。庭木にも多用されているので、人為によって分布が拡大されているが、本来の分布は雪の少ない地域の海岸付近ではなかろうか。クロマツはアカマツに比べ、水分条件の良い場所では、初期成長が良好であり、植林されることも多かった。初期生長が良いのはアカマツに比べて葉への資源投資が多いからであると思われる。葉量が多いので、次の年の拡大再生産比率は大きなものとなるが、逆に根への投資は少ないわけであり、土壌条件の良い場所であることが前提となる。したがって、痩悪な林地ではクロマツよりもアカマツの方が優勢となる。
クロマツの樹形クロマツの若枝
クロマツの雌花クロマツの雄花クロマツの樹皮
 クロマツの雌花はあざやかな紅色であり、新枝の先端に付く。形はマツカサのミニチュアである。雄花は枝の下側につき、これもマツカサのような形であるが、花粉を飛ばし終わると落ちてしまう。雌花はマツカサとして生長し、翌々年の秋に種子を散布する。
クロマツの芽
 クロマツの葉はアカマツと同様に、一カ所から2枚(本?)出ている。厳密には、この1セットは枝であるとされている。1つの微少な枝から2枚の葉が出ている状況であり、新枝が切断されるなどすると、この1セットの葉から新たな芽が形成され、次年には枝が伸びてくる。1本の枝は、このような小さな枝の集合体である。
 マツカサの鱗片は、葉の変化したものである。その眼で雌花をみると、紅色の鱗片と葉が相同器官であることが認識できるであろう。

1.クロマツ 2.クロマツの樹形 3.クロマツの年輪 4.クロマツの古里 5.クロマツのマツカサと種子 6.クロマツの花 7.クロマツの生える風景

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